冬の情景 7

東京都府中市の外壁塗装、塗り替え業者、有限会社不二塗装です。
府中市はもちろん、調布市、狛江市、三鷹市など東京都多摩地区を中心に塗り替え、リフォーム施工を行っております。

ちょっとした油断から雪の降りしきる八王子の丘に取り残されてしまった僕と相棒。
厚く雲に隠れた太陽も傾きはじめたらしく、辺りは段々薄暗くなってきました。
慌てて外に飛び出すと早くもくるぶし近くまで雪に埋まってしまいます。
幸いなことに最初のうちは雨だったのか、アスファルトの上にはまだ5㎝程度の積雪しかありません。

「これはマズイ!逃げるぞ(^^;)」
「帰れるかな・・・(T_T) もうすでに危機的状況なのでは・・」
「チェーン積んでないか見てみようぜ!」

荷台のカバーに積もった雪を払い落として積まれている大小の道具箱、工具箱を引っかき回します。

「ないよ・・ そもそもこの車のタイヤチェーンって見たことある?」
「トラックのチェーン・・・ワンボックスとワゴンに積んであるのは知ってる。でもこの車は(=_=)? あったっけ?」
「記憶にないよな(^^;) 見た事ない。っていうか、よしんば存在していたとしてもだよ。ここにないんじゃ意味ないよな」
「これはかなりマズイかもしれない(-_-;)」
「大きな街道に出れば、それほど積もってないんじゃないかな」
「うーん、街道に出るにはこの坂を下って・・・あのあたりを登って一山越えなきゃならないぞ」
「上り坂でスリップすれば立ち往生(-_-)」
「うん(=_=) っていうか、ここからあの丁字路までの下り坂で滑れば・・・止まりきれずにガードレールにゴンだな」
「でも、ちょっとずつ雪かきしながら進んでいって、この路地から逃げ出せば、通りすがりの車に出会えるかもしれないぞ」
「簡単に言うけど200mはあるぞ、あそこまで(-_-;) 角スコップでもあればなんとかなるかもだけど」
「素手じゃなぁ」
『パテベラ』がある」
「『パテベラ」かよ~ (;_;)トホホ・・・
「じゃあ、車おいて下まで歩くか・・? カー用品店か、ガソリンスタンドがあったらチェーンが手にはいるかもしれんし・・」
「こんな薄着で?(^_^;) 長靴すらないのに?」

そうなのです、防寒で厚着をしているとは言っても所詮は部屋の中での作業を想定してるに過ぎません。
外での作業と言っても我々の商売では雨が降るところでペンキを塗ったりすることはないので雨風の対策はまったくしていなかったのです。
これが高圧水洗浄作業の時なら雨合羽や長靴などの重装備も用意しているのですが、あいにくそれらが入った道具箱は会社の倉庫に下ろしてしまった。
部屋内では学校用の上履き・・いわゆる「バレーシューズ」ですし、今、雪の中に立っている足元はペンキで汚れてもいいような安物のスニーカーだったため、すでにジクジクと指先が濡れ感覚がなくなってきました。

「無理だよ(^^;) 遭難するぜ・・こんなところで凍傷になって行き倒れたら言い笑いもんだよ。新聞の多摩版に載るかもしれん
「じゃあどうする?ここに泊まるか?(T_T)」
「いやいや! 新聞には載りたくないが・・こんな人気のないところで一晩過ごすなんて(>_<)/ 嫌だ! 腹が減った! 寒い! 風呂に入りたい!
「まさかこんなところでこんなピンチになるとはなぁ・・オレだってこんなところにいたくないよー!」

今だったら、スマホを取りだして会社にSOSを伝えたり、タクシーを呼んだりといくらでも手の打ちようがありますがこの頃は夢のまた夢。
あと10年も立てば我々庶民のポケットに電話が入っているようになるのですが、この当時では電話をかけるにも町の公衆電話までたどり着かなければならなかったのです。

「じゃぁどうする?(>_<) 一か八か車に乗って帰るか?」
「うーん(T_T) このタイヤじゃなぁ・・・ツルツルだもん。整備不良も良いとこだぜ! 親父のケチンボ! 雪どころか雨だってスリップしそうじゃん・・・あ!

こんな感じ・・・

「なになに?」
「このスペアタイヤまだ溝が残ってる!(@_@)これに替えれば・・・」
「一本じゃなぁ(^^;)」
「駄目?(?_?)」
「替えた方だけ進んで、同じところぐるぐる回りそう(=_=)」
「(^o^)ははは。それは傑作だな」
「笑ってる場合かよ~(/_;)」
「ゴメンゴメン(^_^;) もう一度徹底的にチェーンをを探そうぜ!」
「おう!」

辺りがますます薄暗くなり、我々はそれにせかされるように荷台といわず運転席の中から座席シートの下まで舐めるように探しはじめました。


一覧ページに戻る