ご隠居さん講談 1

東京都府中市の外壁塗装、塗り替え業者、有限会社不二塗装です。
府中市はもちろん、立川市、日野市、国分寺市など東京多摩地域を中心に塗り替え、リフォーム施工を行っております。

今は核家族化が進んで塗替に行くと平日はお留守だったり、奥様がお一人というお宅も少なくはありませんが、二世帯住宅といいますか、すでにご隠居なさっているお年寄りがずっと仕事を眺めていらっしゃることがあります。
これは監視しているとかではなく暇を持て余してのことが多いようで、

「何回塗るの?三回?それはご苦労だね~」とか
「塗る前の準備がたいへんだね、なるほど、段取り八分とはよくいったもんだネェ」

といった具合に話しかけてくる。
中には延々と昔話を始めるお年寄りも少なからず多いものです。
ある時、頼まれて門柱を塗りに行った、とある老舗のご隠居がそうだった。

「ペンキ屋さんね、私は年を食ってから戦争に取られてね、ひどい目に遭ったよ。私の入った部隊はね、みんな歳食った連中でさ。戦争も終わりの頃だったからね、とにかく頭数だけ揃えようって事だったんだろうねぇ・・・」
「はあ・・・」

と、答えながらも仕事の手を休めるわけに行きません。
建物全体をぐるりと塗るのであれば、次第に作業箇所も替わっていって建物の裏に行ったり二階に行ったり出来るわけですが、幸か不幸かこの現場、施工箇所は一箇所。逃げようもありません。
ご隠居さん、どこからか椅子を持ってくるとゆったりと腰掛けました。

(これは長期戦になるかな・・・)

「嫁さんもらって、子供もいるような連中が集められてんだからね。何が困ったってさ、人間歳食うと記憶力が衰えちゃって・・」
「確かにそうみたいですね~(^^)」

 

今となっては切実な思いで賛成するところですが当時の僕は若かった。それにこのお爺さんの記憶力については、すでに一回疑問符が付くような出来事があったんです。
この家には外飼いの犬がいまして、玄関前をしっかりガードしてる。

「この犬はおとなしいですかね?」

念のため傍らに居たご隠居に聞いてみたときた時にかえってきた答えは

「大丈夫、大丈夫。(^^)人なつっこい子でねぇ!」

それならばと、無警戒に近寄っていくと

「ダメダメ! ペンキ屋さん(*_*)危ないよ!!」

慌てて飛び出したのはご隠居の息子さん。つまり当代の店主が飛んできて

「この犬はね、、もう二人噛んでるんだよ人を(>_<)近寄っちゃあダメ!」
「いやいや・・・お爺さんが大丈夫だって(^_^;)」
「親父はさ、最近ちょっとボケてきちゃってんだよね~。良かったよ、俺がいて」
「・・・・・(^_^;)」

まぁ、そんなわけで少々身構えながらご隠居のお話をうかがっているわけなのです。


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