北の大地より 1

東京都府中市の外壁塗装、塗り替え業者、有限会社不二塗装です。

府中市はもちろん、調布市、日野市、国分寺市など東京多摩地域を中心に塗り替え、リフォーム施工を行っております。

 

ビル全体の改装工事ともなるとたいへん規模も大きくなるのですが、オフィスビルや賃貸ビルの内部改装工事となると施工範囲も限定的で数日間で完了するものもあります。

例えばテナント入れ替時の内部改装工事や共用廊下、階段部分の塗装などです。

こういった場合、他の居住者さんや店舗の利用者へご連絡や打合せを入念に行う必要があります。

一時的な通行止め期間や迂回路の確保、お知らせはもちろんのこと、騒音や塗料臭の発生についてもご説明する必要があるからです。

最近では以前のような強溶剤・・・ラッカーや塩ビ塗料などに替わりまして高耐候の水性塗料が開発されているので以前では苦情の多かったシンナー臭はおさえることが出来るとはいえ無臭というわけではありません。

人によっては匂いに敏感な方もいらっしゃるので、いきなり施工するというわけには参りません。

工事の前段階で見えやすい場所に「施工告知」の張り紙やチラシを配布するなどの準備が必要です。

こういったときにとても頼りになるのが建物の管理会社の方、管理人さんです。

もちろん全ての建物に常駐する管理人さんがいるわけではないのですが、いらっしゃる場合には、施設の利用状況や人の流れ、気を配るべきポイントなど多くの情報を得ることが出来ますし、ご協力いただける事もあります。

公共の施設の場合ですと事務室があって管理を担当している職員の方がいる場合もあります。

また、「僕は最近配属になったんだけど、設備の○○さんはここが出来たときからいるんだよね~」という実際に現場をよく知っているビル管理の方がいたりします。

いわゆる「ビルの主」「生き字引」みたいな人ですね。

こういう人はビルの改装の歴史まで知っていたりして感嘆する事もありますが、民間のマンションなんかですと定年後にこの仕事に就いたという方が多い。

過去の人生経験を生かしながら黙々と第二の人生に取り組んでいる方達ですね。

この方達と親しくなってこちらが用意したお茶を飲みながらお話しするようになってみると意外な知識を得ることがあったりするのです。

 

「ペンキ屋さん、お茶でもどうかね(^^)」

「え?いやいやとんでもない(^_^;) ご馳走になるわけにはいきません」

「なに、ただのお茶だし。私も休憩するところだからさ・・ボイラー室においでよ。ほら、そこの扉がそうだから・・」

 

こちらの現場にやってきて三日ほどになりますが、その間こちらの設備管理の方には大変お世話になっていました。

優しげな人柄を示すような笑顔が魅力的な年輩の方で、いつしか挨拶以外の会話も交わすようになっていました。

もっとも、どうということのない世間話ばかりでしたが。

 

「まぁ、狭いとこだけどいらっしゃい。コーヒーもあるけど?」

「いやいや、お茶で充分です。ありがとうございます<(_ _)>」

「なになに、粗茶だからね(^^)どうぞどうぞ」

「いただきま~す」

「いつも一人だからね、話し相手がいるのは楽しいよ(^^)」

「こちらは長いんですか?」

「まあ、そこそこね。定年してからこの職について・・なにせ時間の流れるのが年を取る度早くなるからあっという間だけどね」

「ほうほう(^^)定年後の再就職ですね」

「まぁねぇ、娘のところにやっかいになってるから気楽は気楽なんだけど、人間あまり楽をしすぎるとね、これまた良くないから・・・」

「あ、よくそうおっしゃる方いますね~」

「あんた達職人さんは、手に職がついてるからその気になればいつまでも仕事を続けられるのかもしれないけど、宮仕えの身じゃあそうもいかない。放り出されたら、その時出来る仕事を探すのさ」

「うーん、いつまでもといってもおのずと限界がありますからね(^_^;)はたしてどっちが良いのかわかりませんよ」

「ペンキ屋さん、僕はね、北海道でSL運転してたの(^^)」

「SLって蒸気機関車ですか?(@_@)」

「そう、国鉄時代の機関士さ(^_^)」

それって、究極の「手に職」じゃん!

あ、でも「宮仕え」か・・・

僕の反応を見ていたずらっ子のような目をして笑うと、管理人さんは話を続けるのでした。


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