冬の情景 3

東京都府中市の外壁塗装、塗り替え業者、有限会社不二塗装です。
府中市はもちろん、小金井市、調布市、小平市など東京都多摩地区を中心に塗り替え、リフォーム施工を行っております。

冬の工事といえば思い出すのが山梨県の別荘ですね。
基本的に当社は府中市を中心とした多摩地区と神奈川県南部の仕事を中心に承っているのですが、たまに常連のお客様や知人より少々東京から離れた別荘の工事も引き受ける事があります。
あれは十二月ぐらいだったでしょうか、親父が古くから付き合っている工務店のご親戚から山梨県山間部の別荘リフォームを頼まれました。
工事の内容は和室の柱、長押の「灰汁洗い」でした。

どんな家庭でも生活をしていくと室内の壁、天井は手垢やタバコの煙、料理の油。部屋によっては仏壇の灯明、線香の煤でくすんだり汚れてしまいがちです。
これはいつの時代でもある事ですから現在でも壁紙の張替などを行って対応していますね。
その際木枠部分などをペンキで塗り替えたり、オイルステイン部分の傷を補修し、ニスを塗ったりします。
(最近では出来合の木枠を使うようになっているので壁紙の張替だけで済む場合が多いです)
以前の日本建築は和室が多く、建物が古くなっていくと壁などの漆喰や聚楽壁、繊維壁を左官による塗替がおこなわれることが多々ありました。
壁が綺麗になってしまうとあらわしになっている柱や長押の汚れが急に目立つようになります。
場合によっては天井もベタベタ。
灰汁洗いとはこの「真壁」構造で壁の補修を行う前に天井、柱、長押、雑巾刷りなどの木部を水や洗剤で洗浄後、「アクロン」、「レブライト」などといったアク抜き剤で洗うことによって表面の汚れを落とす作業です。
このような便利なアク抜き剤がない頃は苛性ソーダや、シュウ酸などの薬品を丁寧に希釈して使った時代も有りました。
それよりもずっとさかのぼると木やわらなどを燃やした炭で作った灰汁(弱アルカリ)による洗浄を行った後、酸性の酢を利用して中和するという方法をとっていたのが名前の由来となっています。
私がはじめて「灰汁洗い」を教わったときにはすでに「灰汁抜き専用剤」がありましたのでそれだけ需要があったのでしょう。
当時はこの「灰汁洗い専門」に現場を渡り歩いている職人さんもかなりの数がいて当社もその方に発注したこともありました。
けれども、最後にその方とお話ししたとき(バブルの終わる頃だったと思います)最近では「灰汁洗い」の仕事もすっかり減ってしまって、神社仏閣の仕事がたまにあるくらいだと嘆いていました。
その腕にかかるとすすけた天井や手垢だらけの柱がピカピカの飴色に輝いて
「なるほどプロだなぁ・・・」と感嘆したものです。
基本的な施工方法は、大まかに煤や埃を払った後、水あるいは洗剤を入れた洗浄液を刷毛で塗り、必要であればナイロンパッドなどで擦りながら水洗いを行います。
死んだ親父は稲藁の穂先で作った「ササラ」のようなもので洗っていましたが・・

マルテーさんのサイトより ミゴホーキ

そもそも「ササラ」自体がわからない人もいるかもしれないので説明いたしますと、ラーメン屋さんが調理の後鉄鍋にお湯をお玉でジャーッと入れて竹の束みたいな奴でザザっと洗うのを見たことがありませんか?あれがササラです。
ただ、親父が使っていたのは藁なんです。
正式名称がわからなかったので検索してみたら刷毛メーカーのマルテーさんの「大塚刷毛製造㈱公式オンラインショップ」で紹介されていました。
「実子箒(みごほうき)」という名前でした。そうそう(^^)その名前です。
昔は手作りで作ってたようですが、塗料店でも売ってましたね。
僕も使ったことがありますが、ちょっと癖があって慣れないと使いづらいです(^^;)
その後水分と汚れを丁寧に拭き取った後まだ汚れが激しければ専用の染み抜き剤「アクロン」を塗布するというのが施工の流れです。
灰汁洗い後は完全乾燥後、保護材として「白木用ワックス」を塗布します。
最近では海外製品のウッドワックスを白木に塗るのがDIYの流行のようですが、ずっと以前から使ってたんですよね実は・・・(^^)色付きではなかったですが。
あらら・・灰汁洗いの話をする前に灰汁洗いの解説に回り道をしてしまいました

このお話の続きはまた次回で・・・


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