東京都府中市の外壁塗装、塗り替え業者、有限会社不二塗装です。府中市はもちろん、八王子市、国分寺市、小金井市など東京都多摩地区を中心に塗り替え、リフォーム施工を行っております。
昨今では、ピケ足場や単管ブラケットの足場が常識となっている塗替工事現場ですが、私が見習いとして入社した頃の時代はまだ「丸太足場」が現役の時代でした。
我が社にも大量の丸太がストックされており、塗替工事の際にはそれで簡易的な足場を自分達で組んだものです。
今でこそ一般住宅専門の足場架設業者さんがしのぎを削って営業合戦している状態ですが当時は足場屋さんといえば大規模なビル現場に枠組足場をかけるのが主な仕事で、一般住宅の新築現場では出入りの鳶さんが足場をかけるといった具合で小さな現場でも引き受けてくれる専門業者さんはあまり多くなかったのです。
そのため塗替工事を行う場合には自社でかける塗装店が多く、一番手軽にかけられる丸太足場が使われることが多かったのです。当然のように現場にいる職長は足場主任の資格も持っていました。
丸太足場といわれても今の時代ではピンとこない方も多いでしょう。具体的にどんなものなのか・・・まず丸太なんですが、直径15㎝ほどの杉や桧の間伐材が多く使われていました。林業では杉、桧が育っていく過程で過密状態を避けるため比較的成長の悪い木を間引いていく必要があります。これらの間引かれた木はまだ若く、製材して使うほどの太さがありません。その有効活用としてチップにしたり、土木工事の杭や、足場として利用していたわけです。
長さは三間ほど・・・5.5mぐらいですかね(^_^;これを材木屋さんにトラックで乗り付けて買ってきます。
それよりも短いザイズはノコギリでギイコギイコと切ってしまえばいいわけです。二間と一間の丸太も作れるし、一間半を二本や、一間三本というように自由自在に切れるのが丸太足場の良いところ。現場で組んでいてちょっと長いな~と思う場合はその場で切ったりもしていました。
それぞれの丸太同士は直径3~4mmほどの「なまし番線」という柔らかめの針金で結びました。私が見習いに入った頃には「足場用番線」という専用の結びやすい形に整え切られた製品が金物屋さんに行けば箱買いできました。その前の時代は縄で縛ってあったそうですがこの足場は日本古来からある足場組だそうで、今でも重要文化財などの工事では景観や技術伝承の為にあえて使うこともあるそうです。
最近では「清水寺」の改修工事が有名ですね。もっとも人が歩く場所はしっかりと足場板が使われていたるようですし、もちろん我々が使っていたのはあんな電柱のような立派な材木ではありません。前述の通り細くて先細りの安い木でした。
実際に現場で足場をかけるためにはトラックに山盛りで縛り付けて運ばなければなりませんし、柱を立てるためには接地部分を埋め込んだり、根絡みをとって等間隔に立てる必要があります。
もちろんそれだけでは自立しないので建物の破風板や木枠などに垂木を釘で打ち付けて「アタリ」をとり丸太に縛る必要があります。当時の建物は破風板や木枠が木だったのでさほど困らず「アタリ」もとれました。もちろんあまり数多くとってしまうと塗装工程の中でこのアタリを緩めて隠蔽部を塗装したり最終的には釘穴もパテ補修、塗装しながら解体する手間も増えるわけですが。
柱が立ったらそれを起点に「布」と呼ばれる横方向の丸太を柱を挟み込む形で二本取り縛り付けます。要するこの二本の平行した丸太に乗って作業をするという形になるのですが、当然建物に対して一本で長さがは足りない場合も多くその場合には1mの重ね部分をとって縛ります。
更には筋交いとして斜めの補強丸太を組み合わせることによって強度が増していきます。
しかしですね、この足場。結構ギシギシと揺れます。特に縦方向に継ぐときにはギシギシ感がまします。
今の若い職人さんに「これでやって!」といったら、多分おことわりになるでしょう(^_^;ブラック企業です。
実際のところ当時だって若い板金屋さんが
「ペンキ屋さんの足場借りて樋交換してくれって言われたんだけど・・・(@_@)ありゃ~丸太の足場だ・・・」
と一言いって固まっちゃった。その板金屋さん極力足場に乗らずに屋根の上から横樋を吊っていましたっけ。
それほどまでに見た目はかなり怪しい。足場丸太も真新しい奴はいいんですが脂っ気が抜けて白くなってたりすると折れたりしないか不安でしょうがない。
ちょっと手で持って妙に軽い奴とかは短く切って捨ててしまうなどの選別もしたものです。
今でも中国など場所によっては青竹の足場を高層建築でも使っているところもあるそうですが、彼ら曰く、
「竹は古くなってくると青みがとれて黄色くなる。そしてそれが白っぽくなると劣化してきているということだ。一目瞭然。だから安全なのだ」
そう言われるとちょっと納得してしまうのは私が丸太足場で仕事した経験があるからで今の主流の単管ブラケット、くさび形連結足場(ピケ足場)に慣れている人間にとっては理解しがたい事でしょうね(^_^;
そんな昔の足場についての思い出話しをいくつかしていきたいと思います。